一昨年の冬シーズン(2017年1月)のこと。
浅間山(黒斑山)に登りに行った時に、青々しい「テムレス」を装着して登っている単独女子を見かけました。
テムレスといえば、筆者が日頃の畑仕事の時に愛用していることもあり、
ホームセンターで売っている「作業用の手袋」としての認識しかありませんでした。
また、当時は「防寒テムレス」の存在も認知していなかったので、
あの薄いテムレスでこの冬山を登るなんて、なんてツワモノなんだと驚愕したのを
一昨年のことのように思い出します。
また、その登山ウェアに作業手袋をはめたような違和感のある出で立ちに、
正直「貧乏くさい」と思ってしまったことも、偽らざる気持ちです。
※写真はイメージです
あ、青ぇ! アンタ青すぎるよ!
しかしながら彼女は、ある意味「最先端」をいっていたという事実に、
わりと最近気がついたのです。
そう、いまテムレスが、冬山登山を楽しむ愛好家に、
高い機能性とコスパを併せ持った「裏ギア」として浸透し始めているということを、
遅ればせながら最近知ったのです。
今から2年も前に防寒テムレスを導入していたとは、
その先見の明と情報の早さに敬意を払いこそすれ、
貧乏くさいなどと一瞬でも思ってしまった自分を心の底から恥じました。
テムレスを冬山登山用グローブとして使うことについては、下記の記事が参考になることでしょう。
プロガイドが選ぶ 最強の雪山グローブ 防寒テムレス
https://yama-guide.com/2018/03/28/temuresu/
なんといっても、プロのガイドが実践投入したレポートで、彼自身もテムレスを愛用しているとのこと。
私事で恐縮ですが、
筆者愛用のオーバーグローブが今季で7シーズン目に突入(貧乏くさい)しまして、
流石に経年劣化による保温性の低下が、身体に深刻なダメージを与えるようになりました。
先日、天狗岳に登った時には「気温マイナス8℃、風速3m程度」という、
冬山としてはかなり緩めのコンディションにも関わらず指先が軽くヤバイ状態に陥り、
「このままだと栗城くんになっちゃう」と嗚咽も漏れるほど。
これは早いところ冬用グローブを新調しないと自身の指先がヤバイということで、
テムレスを急ぎ導入せざるを得ない状況になったのです。
テムレスはなぜ人気があるのか。
それはなんといってもコスパの高さに起因することは、まず間違いないでしょう。
日本はアベノミクスでいざなぎ景気超え、などとの報道がなされていますが、
好景気を実感している人はほとんどいないと思います。
アベノミクスの恩恵を受けているのは、法人としての大企業と上位1%の上級国民のみ。
庶民の生活は苦しくなる一方であることは、筆者をはじめみなさんも実感することころでしょう。
実質賃金の推移を見ても、庶民の生活が苦しくなっていることは明らかです。
賃金が下がり、コスパの高い商品が受け入れられるようになり、
そしてますます賃金が低下していくという負のスパイラル。
一方、世界に目を向けてみると、実質賃金は上がっています。
先進国では日本だけが没落していることが分かります。
出典:全労連
そんな厳しい経営環境の中、着実に売上を伸ばしているのが、
この「テムレス」の発売元であるショーワグローブ株式会社なのです。
●ショーワグローブ株式会社 売上高(単体)の推移
出典:ショーワグローブ株式会社
そんなショーワグローブの主力商品が、この「テムレス」です。
テムレスの最大の欠点、それは「作業感がハンパない」ということです。
あの青いデザイン、どうみても築地(現豊洲)の魚市場感が漂います。
せめて、黒だったよかったのに。
実は黒い「テムレスもどき」のグローブはあるのですが、
実戦投入例としてテムレスほどの性能と実績が確認されていない点が気になります。
そんな筆者のようなニーズを、テムレス製造元であるショーワグローブ株式会社が掴んだのでしょう。
なんと、石井スポーツにて「黒いテムレス」が売られているのを発見しました。
「黒いテムレスもどき」ではなく、「黒いテムレス」ですよ奥さん!
パッケージを見ても、確実に登山者を対象としたものであることが分かります。
これは、買わないわけにはいかないでしょう。
あわせて、インナーグローブも新調しました。おなじみミズノのブレスサーモです。
テムレスブラック 1,990円+ブレスサーモ 1,400円で合わせてたったの3,390円(税抜)で、
冬山グローブが新調できた(かもしれない)のは、嬉しい誤算でした。
そういえば以前検索した時には見つからなかった、
テムレスブラックがAmazonで売られていますね。下にリンクはっておきます。
送料分が上乗せされているので割高ではありますが、
近くに石井スポーツが無いという方は、
通販で購入されるのがよいかもしれません。
まだ実戦投入をしていないのでなんともいえませんが、
実践投入の暁には、本記事にレポートを追加したいと思います。
今月は(登山以外の)旅行が重なって本格的な雪山に行く機会に恵まれず、
ようやくテムレスを実践投入する機会が本日(1/27)にやってきました。
筆者も大好きな山、蓼科山にて実践投入です。
当日の山行レポートはこちらをご覧ください。
こちらがテムレスを装着した筆者。
青いテムレスに比べると、随分と「作業感」が軽減されているかと思います。
気温はマイナス4℃程度。
まずはインナーグローブは装着せずに、テムレスオンリーでスタートします。
実は筆者、「毛細血管スロースターター」でして、
あるきはじめはどんな山でも指先が痛くなってしまうのです。
しばらく歩くと、指先の毛細血管にも血液が行き渡ってくるのですが。
ということでマイナス4℃程度でも、
テムレスオンリーでは指先が危うくなってきました。
たまらず、テムレスと一緒に購入した「ブレスサーモ」のインナーグローブを装着します。
ブレスサーモは、水分に反応して発熱する素材です。
テムレスは、このブレスサーモのインナーグローブと組合せて使うことで、
その真価を発揮するのではと思いました。
というのも、テムレスはいわゆる登山用のオーバーグローブに比べると、
透湿性が低い(=防水性が高い)ため、蒸れやすいのです。
ところが、ブレスサーモは水分に反応して発熱する素材のため、
ある程度蒸れてくれたほうが、暖かいのです。
毛細血管に血液が行き渡ると、テムレス with ブレスサーモの組み合わせは、
とても暖かく、むしろちょっと暑いくらい。
ライトな冬山なら、この組み合わせでまったく問題ないと思いました。
そして蓼科山山頂。
気温は氷点下9.7℃。風は風速7〜8mといったところ。
体感温度でいえばマイナス15℃くらいでしょう。
このくらいのコンディションになると、
テムレス with ブレスサーモでも、長時間はキビシイというのが、
正直な感想です。
もちろん、毛細血管の豊富な方であれば問題ないかと思います。
実質的には、体感でマイナス10℃くらいまでであれば、
テムレス(with ブレスサーモ)の組み合わせで充分いけるかと。
それ以上であれば、やはりそれなりのグローブのほうが
安心できるかと思います。
ただ、これ以上の環境に対応できるものとなると、
おそらく18,000円以上はすると思いますので、
テムレスが庶民の味方であることに異論を挟む余地はないでしょう。
あるいは、インナーを少し厚手のものにするなど工夫することで、
さらに過酷な環境においても対応可能かと思います。
テムレスと賢いインナーグローブ、この組み合わせで、
厳しい冬山と、そしてそれ以上に厳しいこの世の中を
乗り切っていきましょう!