権現岳(八ヶ岳)
2015年11月22日(日)
ルート:天女山駐車場〜▲三ツ頭〜▲権現岳 ⇔ピストン
そうだ、イワナガヒメに挨拶しにいこう。と思い立って権現岳に登ることにしました。
などと偉そうなことを言って、権現岳に登るのは実に四半世紀ぶりのお話しです。
紅葉シーズンも終わりを告げ、天女山の駐車場は車もまばら。
ここは売店などの施設もなく、紅葉の季節であればカラマツが素晴らしく美しいのですが、
それ以外のシーズンはこれといって見処のあるスポットではありません。
今となっては権現岳の登山口として、利用されることが主かもしれません。
ちなみに「天女山」へは駐車場から徒歩1分という気軽さで登ることができます。
道中、朝露の滴るススキ。
山に入り自然と向き合うと、すべてのものが美しいということを肌で感じることができます。
自然がなぜ美しいのかといえば「自我」が無いからです。
「自然体でいこう」ということは即ち「自我」を小さくしようということです。
その究極の姿を体現したのが「自然」そのものなわけで、そこに美しさを感じるのはある意味必然なのでしょう。
なだらかな道を1時間ほど歩くと、急登が始まります。
駐車場から山頂までの標高差はおよそ1,200m、いつまでも緩い登りのわけがありません。
個人的には、この笹林というのがあまり好きではないので(笑
普段よりも道のりが長く感じますね。
紅葉の時期であれば、カラマツが鮮やかな黄金色に染まり、
息を呑むようなコラボレーションを魅せてくれることでしょう。
道中、富士山がその姿を現してくれました。
その昔、八ヶ岳は富士山と高さを競うほどの高山だったそうです。
というより日本で一番高かった山がいまの八ヶ岳だそうです。
富士山と八ヶ岳でどちらが高いのか、富士の女神と八ヶ岳の男神が言い争いになりました。
阿弥陀如来さまの提案で、高さくらべをするために長い樋を渡して水を流したところ、
水は八ヶ岳から富士山のほうへ流れました。八ヶ岳のほうが高かったのです。
悔しがった富士山の女神は、八ヶ岳の頭を殴ってしまいました。
すると八ヶ岳の頭は八つに割れてしまいました。
それが今の、権現岳・西岳・阿弥陀岳・峰の松目・編笠山・赤岳・横岳・硫黄岳です。
そんな民話を思い出しながら、八ヶ岳から富士山を眺めるのも一興ですね。
神さまの使いでしょうか。カモシカが目の前に現れました。
こちらをじっと凝視して、近づいてきます。
近づかれると、ちょっとビックリしますね。
間近でしばらく見つめ合ったあと、カモシカはスタスタと斜面の下のほうへ下りていきました。
他の動物とは違った、不思議な奥行きのある眼差しをしていたのが印象的でした。
三ツ頭から見た、権現岳から赤岳。
赤岳は堂々たる筋肉質な山体が主峰の面目躍如といったところです。
権現岳は、山頂に佇む象徴的な二つに割れた岩が肉眼でも確認できます。
赤岳は一昨年登っていますが、権現岳は超久しぶりなので楽しみです。
権現岳の山頂を象徴する巨岩が見えてきました。
まるで大きな矢が突き刺さって砕けたような面持ちです。
イワナガヒメと共に祀られているのが八雷神(ヤクサノイカヅチノカミ)というのも納得です。
磐長姫命(イワナガヒメノミコト)と八雷神(ヤクサノイカヅチノミコト)にご挨拶。
これからの新しい時代の始まりを予感させるような、
そんな空気を感じました。
権現岳山頂にて敬礼っ!
帰りしな、美しく佇む樹をパチリ。
自然というのもは、本当に本当に美しいものですね。