多峯主山(埼玉県飯能市)
2015年11月15日(日)
ルート:飯能市民会館駐車場〜▲天覧山〜▲多峯主山 ⇔往復
2009年5月。別に山に登ろうと思ってないのにいきなり訪れた多峯主山。
すべてはここから始まった、ある意味登山を始めた原点の山です。
レッドアローに乗って飯能にやってきたのは、
単にレッドアローに乗ってプチ旅行気分を味わおう、
というただそれだけの理由でした。
駅で配られていたハイキングマップを偶然手にし、
ちょっとハイキングでも行ってみようかと思いたったのがこの多峯主山でした。
もちろん装備など何も持たず、手ぶらに普段着で登りました。
実は筆者の父は元山男で、子どものころは父に連れられ散々山には登っていて、
富士山は小学校1年の時に登頂、小学校4年で八ヶ岳を全山縦走し、
中学生の時には槍穂高と、まぁ一応ひとしきりの登山を経験していたのですが、
山に登った感覚を含めてすべては遠い記憶の彼方にあり、
また、自ら進んで登っていたわけではなくむしろ登らされていた感も強く、
これらの経験が血肉となっていたわけではありませんでした。
そして大人になってからは全く山からは遠ざかっていたのです。
むしろインドア派の帰宅部といった面持ちでした。
つまり大人になってから自分の意志で登山を楽しむようになった、
そんなキッカケをつくってくれた原点の山が、この多峯主山なのです。
標高は276mと低く、地元の方々が犬の散歩などにも訪れる、
ある意味典型的な、ちいさな里山です。
家から1時間で麓に到着できる近さもあり、
午後から予定があるけどちょっと歩きたいな、という時にも最適です。
登り始めるとすぐに天覧山の中段に着きます。
その先の分岐を左に進むと、この十六羅漢像があります。
能仁寺によって管理されており、
いつ訪れても献花が絶えることはありません。
このように、人々によって祈りの対象となり大切にされてきた山々には、
想いの念というか、高い波動が宿っています。
タスマニアの山を歩いた時、確かに太古の原生林の鬱蒼とした迫力はあるのですが、
なにかこう、物足りなさを感じたのはおそらく、
長きに渡り人々の祈りの対象とされてきたか否かの差ではないだろうかと
妙に納得したことを思い出します。
年末、久しぶりにタスマニアに訪れる予定なので、
当時よりも感度の高まっている(と思われる)身体で、再度確認をしてみたいと考えています。
天覧山に到着しました。
もともとは羅漢山(その前は愛宕山)と呼ばれていたようですが、
明治天皇が山頂から統監したことにより、天覧山と呼ばれるようになったそうです。
195mという標高、
下手をするともっと高いところに住んでいる人もたくさんいるでしょう。
そんな天覧山から、200名山である武甲山の方向を眺めます。
武甲山の周囲だけ青空が広がりはじめていて、なかなか幻想的な景色を演出しています。
天気がよければ、富士山も望むことができる、なかなかのスポットですよ。
紅葉は、まだ色づきはじめといったところです。
200mにも満たない小さな里山ではありますが、
なかなかどうして、深みのある面持ちをしています。
植林の多い奥武蔵エリアにおいて、それなりに雑木が残っているのもまた、
心地よさの要因のひとつなのでしょう。
「まむしに注意」とあります。
以前、まむしに出会った時にかなり近づいてマクロ撮影とかしていたのですが、
いま考えてみると、噛みつかれてもおかしくない状況でした。
しかもその時の山行が単独だったので、無知というのは恐ろしいものだと、
自戒の念を持って身震いします。
こちらは「見返り坂」。
名の由来は鎌倉時代にまで遡るそうで、当時からこの山が人々に愛されていたことが伺い知れます。
登山道に設置されている階段は、歩幅がうまく合わなくて歩きづらいことが多いのですが、
やはり設置作業において、あるの程度妥協が必要だからなのでしょう。
つい、階段の横を登ってしまうことも多くあります。
雨乞池に到着です。
このような山頂にありながら、ただの一度も枯れたことがないと言われています。
また伝承によれば、
「鼻をつまみ息を止めて七廻りすると池の中に異変がおこる」
との伝説があり、筆者もためそうと思ったのですがとても息が持たず、
肺活量の旺盛な人にぜひ一度、挑戦してみてもらいたいものです。
多峯主山山頂です。
標高271m。
小さな里山ですが、山頂には、
経文が書かれた河原石が1万個以上も埋められているという、
霊験あらたかな山でもあります。
前回は3月に訪れました。
やはりここは原点ともいえる山なので、
定期的に訪れると思います。
武甲山の方向を眺めると、さらに青空が拡がっていました。
なんというか胸のすくような、もし自分が鳥だったら羽ばたきたくなるような空構えです。
帰りの道すがら、今日歩いたカロリー以上のカロリーを摂取してしまいました(笑
いずれにしても山って、いいですね。