「発酵」といえば小泉武夫先生。
異論を挟む余地も人も、このニッポンには居ないでしょう。
なんて小泉先生の著書を一冊しか読んだことがないのに、
偉そうなこと書いてすみませんでした。
このたび「発酵」にまつわる企画に軽く携わることになり、
最低限の知識を身につけておかないといけないと思いたち、
Amazonで「発酵」と検索して一番目に出てきたのが本書です。
何しろレビューが50件以上も書かれていて、
いわゆる発酵本としては異例ともいえます。
発酵の基本から身体と菌の関係からはじまり、
その流れで、ワクチンや抗ガン剤などの
デタラメな医療の現実について警笛を鳴らすところから
本書は始まります。
この手の現実を知っていれば、
当たり前の常識として流し読みできるのですが、
純粋な「発酵本」として手にとった向きは少々面食らうかもしれません。
とはいえ基本の米麹の作り方から味噌、甘酒、塩麹、
これらを使った実践的なレシピの数々など、
発酵レシピ本としての充実度は高いのは間違いありません。
そして天然酵母と乳酸菌、特に非常に応用範囲の広い
「米のとぎ汁乳酸菌」とそれらを使ったレシピは食にとどまらず、
お風呂やパックやローションや保湿スプレーなど、
もうこれでもかというほど活用範囲が広いことに驚きます。
すでに自身で何らかの発酵食品を作っている人ほど、
役に立てられる内容が多い、実践書であると感じました。
「天然工房」の名に偽りはなかったのです。
そして最終章である、
第6章「発酵パワーで放射能をやっつけろ!」では、
原発問題を取り上げています。
もはや発酵本とは思えない踏み込み方ですが、
お師匠さんが飯山一郎氏と書かれており納得。
著者の原動力もここにあったのです。
もちろん、発酵食品を実生活に取り入れた
具体的な自己防衛策も示されています。
発酵食品の持つポテンシャルを、
あらためてというよりも、むしろ、
新たな認識として理解できたことは大きいです。
そして、著者は簡単とはいいつつも、
自家製には意外と手間がかかる側面も見えたので、
よい発酵食品の作り手との出会いも含め、
今後の発酵と人生との関わりを、充実したものにしていきたい、
と思った次第であります。