「大麻」と聞いて何を連想するでしょう。
多くの日本人は、麻薬の一つとしての認識を持っているのではないでしょうか。
かくいう私も身近な人間が大麻取締法違反で摘発されたこともあり(笑
おそらく「大麻」と聞いて一般的に連想されるようなイメージ、
そんなイメージを漠然と持っていました。
が、本書を読んで、その浅はかなイメージが一変したのです。
大麻は日本では縄文時代より衣服や食用として用いられ、
神事などにも使われ、稲と並べても遜色のないほど、
日本民族と深い関わりと歴史を持っていたことが分かります。
生育が早く環境適応性が高く病害虫にも強く輪作もできる大麻は、
農作物としても非常に扱いやすい植物でもあるとのこと。
しかも紙や繊維や食料、建材や燃料をはじめ、
様々な工業用品をも作ることができる上、
医療用途としてのポテンシャルも高いとなれば、
疲弊しきったいまの地球を救う奇跡の植物なんじゃないの、
と考えても差し障りないレヴェルです。
これほど有用で、古くから用いられてきた植物がなぜ突然、
規制の対象となったのでしょう。
俗に「陰謀論」と言われる書物やネットの記事を読んでいると、
大麻規制を世界の潮流としたのは、未だに世界を牛耳る支配者層、
当時の石油産業や製紙産業の面々であったと噂されます。
大麻はこれらの産業と競合する、
いってみれば目の上のタンコブ的存在だったわけです。
戦後日本はGHQの占領政策の呪縛から未だに解き放たれずにいますが、
大麻を麻薬として徹底的に取締の対象とする「大麻取締法」もまた、
GHQによって無理やり食わされたものである経緯が描かれています。
当時の日本では、
大麻は、貧しい農家を支える貴重な農産物でもあったのです。
そもそも心身変容を目的とした吸引の習慣なども無く、
取り締まる必要も規制をする必要もまったく無かったのです。
むしろ、これらを取り締まることにより
大麻農業や大麻産業に与える悪影響のほうが、
よほど大きかったと言えるのではないでしょうか。
当時の善良な官僚たちはギリギリまで抵抗をしたものの、
結局、1948年に「大麻取締法」は施行されてしまったのです。
あれから67年。
未だに日本では、「大麻」と聞けば「麻薬」を連想させるような、
そんなイメージが蔓延っています。
「大麻」の字に麻薬の「麻」が含まれていることも、
不幸な偶然でありました(本来は「痲薬」です)。
翻って世界へ目を向けてみると、EU諸国に端を発し、
産業利用、医療利用の研究開発のみならず、
嗜好品としても解禁をする動きが出てきています。
タバコやアルコールと比較しても身体的依存度が低い、
という多くの調査結果も、ご存知の方も多いと思います。
だからといって大麻吸引をすすめるつもりはまったくありませんが。
しかし、大麻の持つ(産業・医療用としての)無限の可能性を知り、
これらを活用していこうとする流れが日本国内でも、
大麻との長い歴史と繋がりを持つ日本であるからこそのムーブメントを
起こして欲しいと、他力本願ながら願っています。
本書は「大麻とは何か」を知る手がかりとなると同時に、
思考停止に陥ってしまっている日本人を目覚めさせてくれることでしょう。
もちろん、陰謀論めいたことは書かれてはおらず、硬派な書であるので、
安心して「大麻とは何か」を学ぶきっかけになることが請け合いです。
逆に、このような事実関係をきちんと抑えた上で、
GHQ関連書籍や陰謀論系(と言われる)書籍を読むと、
点と点がつながり始めてくる予感がする昼下がり、
やはり読書とはいいものだと再認識をした次第です。
余談ながら電車でスマホにかじりついている人、
スマホの代わりに、本にかじりついてみませんか。