「プラットフォームを制するものは世界を制す」
いま思いつきで書いてみましたが、本書には、
「プラットフォームが世界を変える」との書き出しがあります。
ぶっちゃけ、そっちのほうがしっくりきますね。
ちょうどサマーウォーズを久々に見なおしたばかりだったので、
まさにプラットフォームが現実世界に与える影響と可能性を、
アニメを通じて実感していた矢先に、手にとったのが本書です。
まずは世界的なメガプラットフォームとして、
Apple、Google、facebookを取り上げ、
それぞれの「共有価値観」について考察しています。
よくAppleと比較されるGoogleは時に、
すべてを自動化・機械化していくような、
どこか冷たい印象を持っている人も案外多いと思います。
が、Googleが自動化を目指すのは、
自動化によって生まれる時間や余力を使って、
たとえば「バカ話」をするといった、
より人間らしい日常を送るための手段であると著者はいいます。
つまり、Appleよりも人間寄りであると。
ほう、そんなんだと思いながらこのブログはMacで書いているし、
iPhoneもiPadも使っていますが、にわかAppleユーザーではなく、
パソコン通信、いわゆるパソ通時代からの長年のMacユーザーです。
「ComNifty」+「魔法のナイフ」+「NIFTY-J ぞーさん」+「茄子R」
の組み合わせを懐かしむ、立派なオッサンです。
そんなAppleの現在における共有価値観は、
「Think different」から「Your verse(ヴァース)」に
なっているらしいのです。
ヴァースといえば、多少なりとも音楽を嗜む方ならお馴染みでしょう。
そう、そしてヴァースといえばスターダストを思い浮かべます。
スターダストには歴史的名演が多い中、個人的には、
MALTAの「Sweet Magic」の最後に収録されている「Stardust」が印象深いです。
なぜなら30年ほど前に友人に借りたカセットテープ(ダビングでなく売品)を
未だに返してないからです。
流石に時効でしょうが、月日の流れるのは早いものです。
もはや話が本題から確実に完全にズレていますが、
おそらくこれが、Googleの自動化によってもたらされた効果なのかも
しれるわけがないでしょう。
話は教育のプラットフォームへと場を移します。
「カーンアカデミー」という、
授業の動画を子どもたちに配信するという試みからはじまったサービスが、
動画で予習をすることで一方的だった授業に新たな双方向性が生まれ、
やがてはある科目が得意な生徒が苦手な生徒に教えるという、
生徒同士の双方向性にまで発展していったことに、
プラットフォームとしての可能性を見出しています。
その他、プラットフォームとしての、
3Dプリンターやシェアリングエコノミーの可能性にも言及しています。
シェアリングエコノミーは妥当として、
3Dプリンターにプラットフォームとしての可能性を見出す
という視点は新しいと思います。
日本型プラットフォームの事例としては、
リクルート、iモード、楽天を引き合いに、
「BtoBtoC」が日本型プラットフォームの強みであることを
具体的事例を提示して証明しています。
いずれも著者自身が携わってきたサービスだけに、
裏事情を知る当事者としての分析に説得力があります。
また日本は、iモードの着メロを始めとし、待受画面やデコメ、
最近ではLINEのスタンプまで、
コミュニケーションを活性化させるために消費される、
「コミュニケーション消費大国」でもあると指摘。
確かに他国と比較すれば、コミュニケーション消費は
もはや文化といってもよいでしょう。
そんな日本独自のコミュニケーション文化を活用して、
「ラダー」の設計をうまく行ったのが成長期のmixiであり、
またその凋落の原因も分析されています。
黎明期からmixiを使い、
現在は「最終ログインは3日以上」となっている自分には、
実感として腑に落ちる内容でした。
ただ本書を読んでみて一番感じたことは、
著者がバリ島のウブドに居を構えて仕事をしており、
う、羨ましい! ず、ズルい!(; ・`д・´)
という、ただその一点です。
私もウブドとはいわないまでも、静かで空気のきれいな、
放射性物質の心配をしなくてもいいような環境で、
仕事ができる身分になりたいと思います。
それ以外の内容については、正直いまの私にとって、
オマケといっても過言ではなかったのです(あくまで個人の感想です)。