「そうだ デジカメ、買おう。」
そう思い立って機種選定をはじめ、
最終的に「SonyのHX30VとPanasonicのTZ30」の2機種にまでは絞ったものの、
いったいどっちにしたらいいのか悩みすぎて夜も眠れないという御仁は相当な数にのぼるはず。
その数、現在の日本に限ってみても約7,000名はくだらないはず(筆者思い込み)。
筆者なども日々七転八転し、「hx30v tz30 比較」をはじめとする、
思いつくばかりのキーワードで検索をした検索結果一覧のほとんとすべてのリンク先が
既訪の紫色になってしまっている状態であります。
そして、これらのリンク先を閲覧した時間だけに限ってみても、
軽く実働80時間を超えているという事実。
これを筆者が住んでいる東京都の最低賃金(※平成24年10月現在)に換算してみると、
850円×80時間=68,000円となり、HX30VとTZ30の両方を購入して実際に使ってみて、
気に入らないほうをヤフオクで売り飛ばすのが実はもっとも効率的であったと、
先ほど気づいてハタと膝を打った次第である。
しかし、それは何かが間違っている。
「給食費払ってるんだから『いただきます』なんて言う必要ない」などと言っている
バカ親と変わらないのではないのか。そんな思いが頭をチラッとよぎる今日この頃である。
「そもそも、なぜこの2機種に絞ったの?」
多くの諸兄はおそらくは光学20倍ズームと、動画もイケてるという両者を併せ持つコンデジとして
この2機種に白羽の矢を立てたはずで、その予想はほとんど間違っていないはず。
単に高倍率光学ズーム搭載で、いわゆるコンデジのサイズに収まるものであれば、
キヤノンのPowerShot SX260 HSが候補に入らないのはおかしい気がするし、
ペンタックスのOptio VS20なんかもお値打ち価格で面白い。
やはりHX30VとTZ30の2機種に絞った多くの方々は、ズーム力はもちろんのこと、
「動画力」に惹かれていることと邪推せざるを得ない。
ちなみに「力」は「りょく」であってカタカナの「カ」ではない。
動画力をスペックで判定するのであれば、「1920×1080 60p」の動画が撮影できるかどうか、
を判断基準にすれば話が早い。
デジカメを画素数で比較して、高画素=高画質と勘違いしている人は目を覚まして欲しいが、
いま、デジカメ動画力の比較をする場合は、「1920×1080 60p」の動画が撮影できるかどうか、
を基準にすれば間違うことはない。
なぜなら普通に生活をしている市民にとって、「1920×1080 60p」の動画なんか不要だからだ。
メーカーが本気で動画に力を入れない限りは搭載されることはないのである。
ちなみにYouTubeにアップロードをした動画は30pにコンバートされてしまう。
なんだ、じゃぁ意味ないじゃん。と早合点しないでいただけるとありがたい。
なぜなら、60pで撮影した素材を30pのプロジェクトでスローモーションをかけると、
200%までなら非常に滑らかできれいな映像を得ることができちゃうんだよ。
そして光学20倍ズーム搭載で1920×1080 60pの動画撮影ができるコンデジ、ということになると
(※平成24年10月現在)事実上この2機種しかないわけで、だからこそ多くの人々が
この2機種のどちらにするかという悩みで毎日心を痛め、将来お迎えが来たときには、
走馬灯のように甦るワンシーンになろうとしている。
「ところで、静止画はどうなんでしょうか?」
能書きはどうでもいいから、いい加減参考になる話をしてくれ!とのお叱りはごもっとも。
そうはいってもカメラなので、静止画もキレイに撮りたいと考えるのが人情というもの。
ちなみに筆者の場合、Webにアップすることがほとんどの目的なので、
最終形は最大でも1200×900ピクセル程度のサイズ、画素数にして、およそわずか100万画素。
ちなみにフルハイビジョンと呼ばれるサイズの画素数は、およそ207万画素。
ようするに、1410万画素だの1820万画素だのは冷静に考えればぜんぜん必要なくて、
だったら600万画素くらいでいいから1画素あたりのピッチをデカくしてくださいよ派の一員です。
それはさておき、ネット界隈で「塗り絵」だのうんこだのと散々しばかれているHX30Vの静止画について、
確かに原寸まで拡大してみれば塗り絵だけれど、Webで使用するサイズにおいてはハッキリ言って無問題。
TZ30の静止画は発色もよく、HX30Vより華やかに見えるのが特徴。
また、実際に人に見せたときのパッと見のウケもTZ30の静止画のほうがよいと思う。
どちらを選ぶかは、人様の撮った写真をたくさん見て、自分の好みのほうを選べばよいのです。
→ HX30v → TZ30 (価格.comの投稿写真)
→ベストゲートの両機種比較記事
→価格.comマガジン(※他機種も含んだ記事)
ただ、静止画に重きを置くのであれば、そもそもこの両機種ではなくて別の機種を買ったほうがよい。
「肝心な動画機能はどうなんでしょう?」
静止画がメインならばともかく、この2機種にたどり着いたということは動画力に魅力を感じているはず。
そこで参考にしたいのが、価格.comのクチコミ掲示板。
なお、動画の傾向を見比べるには最適だが、かなりの低ビットレートに圧縮されているので、
画質については参考にならない。
あとはYouTubeで機種名で検索すると、たくさん動画が出てくるので、見まくると傾向がよく分かる。
両機種ともに静止画と同じような傾向が出ており、色の鮮やかさなどパッと見の一般的な評価としては
TZ30に軍配が上がる可能性が高い。
しかし、手ブレ補正に関してはHX30Vの圧勝。歩かなければ、TZ30も手ブレ補正はよく効く。
また、動画と静止画の違いは、絵が動いているか止まっているかの違いは当たり前として、
「音声」がついているという点を見落としてはいけない。
その音声に関していえば、HX30Vがよい。ステレオ感もHX30Vのほうが上。
TZ30は周波数特性がやや不自然な印象を受ける。
風切り音対策のためか、明らかに低音域と高音域が落ちている。
話し声などは聴き取りやすいかもしれないが、どうも不自然だなと感じる向きも多いと思う。
感度と周波数特性とトレードオフなのか、風切音はHX30Vのほうが大きい。
外撮りが多い場合は、モコモコ靴下の端切れなどをマイク部分に貼れば解決する。
さて、動画をメインに考えた場合、特にPCで閲覧する場合の画作りはTZ30が好ましいものの、
手ブレ補正の強力さ、そして音声収録の性能を考えるとHX30Vに軍配が上がる。使い方にもよるけど。
歩き撮りはあまりしない、音声はオマケ程度に考える、のであればTZ30のほうをオススメする。
ちなみにTZ30は1280×720 60pというモードも備えており、編集のことまで考えると、
フルHDはいらないけど、滑らかな絵はほしいという向きにも最適。
で、結局どっちやねん!
ということになると、表にして比べてみるのが分かりやすい。
やや独自の視点というか自分にとって重要な点に絞って、2機種を比較してみよう。
「HX30VとTZ30を比較してみましたよ」
HX30V | カメラ | TZ30 |
---|---|---|
静止画 | ||
渋め | 印象 | 華やか |
1cm | マクロ撮影 | 3cm |
できる(最大192度) 結構まともに合成する |
パノラマ撮影 | できる(最大360度) ちょっと不自然になることも |
ついてる | 電子水準器 | ついてない |
動画 | ||
渋め | 印象 | 華やか |
AVCHD 1,920×1,080/60p 1,440×1,080/60i MP4 1,440×1,080/30fps 1,280×720/30fps |
主な撮影 フォーマット |
AVCHD 1920×1080/60p 1280×720/60p MP4 1,440×1,080/30fps 1,280×720/30fps |
強力。 特に歩き撮りの時は驚異的。 |
手ブレ補正 | 静止画ではそれなりに強力。 |
良好。 風切音対策はやや弱い。 |
音声 | やや不自然。 風には強い。 |
その他 | ||
106.6 x 61.9 x 34.6mm 約254g ポケットがパンパン。 お気楽サイズギリギリ。 |
サイズ | 104.9 x 58.9 x 28.2mm 約206g ポケットに入る大きさ。 HX30Vよりひと回り小さい。 |
ついてる | Wi-Fi | ついてない |
いままでに書いた部分は端折るとして、触れていなかった部分について、やさしく触れてみよう。
まず、マクロ撮影。HX30Vは1cm、TZ30は3cm。
筆者の場合、はじめてのデジカメからRICOH機を愛用していたりするので、
マクロといえば1cmというのが当たり前の生活が長い。
例えば、キノコとかに超近寄って撮りたいときなどは3cmというのはちょっと、
と思ってしまうこともある。まぁ実際は3cmでも充分なケースがほとんではある。
次にパノラマ撮影、いわゆるスイングパノラマはSONYに一日の長がある。合成も自然。
つまり、マクロとセットで考えると、山歩きなんかに持っていくにはHX30Vのほうがよいかも。
電子水準器、これもいまだに愛用しているRICOHのR10など4年も前に搭載しているのに、
最新機種のTZ30についてないとは嘆かわしい。これ、あるとかなり便利。
動画フォーマットについては、TZ30の1280×720/60pというのは特定の人には利用価値が高い。
まぁ、テロップ作りこんだりとかグラフィック素材を作らない人には、あまり関係ない。
そして本体サイズ。これはTZ30が小さくていい。
HX30Vは、いわゆるコンデジのサイズとしてはかなり大きく、TZ30よりひと回り大きい印象。
大きさを考えると、山歩きなんかに持っていくにはTZ30のほうがよいかも。
最後に、Wi-Fi機能。
この機能は、通常の写真であればスマホで充分ですよ、という御仁にも朗報といってよい。
なぜなら、HX30Vで撮った写真をiPhone(やAndroid)に転送して、すぐにTwitterとかFacebookとか
微博とかにアップできる。
光学20倍ズームを使ってスマホでは絶対に撮れない写真を撮って、
スマホと連携してアップできるとなると、人によっては相当の価値になる可能性を秘めている。
で、結局どちらを選ぶのがよいのか。うーん、筆者の口から言えることは、
「HX30VとTZ30、どちらを選ぶかは、あなた次第です」
《追記》
結局、HX30Vのほうを買いました。現在のメインコンテンツの登山・山歩きの写真は、
ほぼすべてHX30Vで撮影しています。写真は1,500枚以上あるので参考までにご覧ください。