「未来工業って知ってます? 面白い会社なんですよ」

時流に敏感な友人からそんな話を聞きつけたので、
同社のホームページを見てみると、電気設備資材の会社で、
これといって面白そうな会社には見えませんね。

そこで、創業者の山田昭男氏の著書を取り寄せてみました。

「日本一の休日日数」「残業禁止」「ノルマもなし」で、
「全員正社員」「定年は70歳」でしかも60歳から給料据え置き。

65歳の平均給与は700万円と、地方の中小企業の同業種としては、
かなり高いです。しかも基本的に年功序列の給与体系だといいます。

5年に一度の全社員参加の海外旅行の費用は全額会社負担。
会社としては億単位の負担になります。

高度成長期の右肩上がりの時代ならともかく、
このご時世でこのようなスタイルで、
しかも連結で従業員1,000人以上の規模で、
きちんと利益を出しているのは、ハッキリいってすごいことです。

なぜこのようなことが可能かといえば、
「徹底した差別化」「報恩性」の2点を追求してきたからだと。
もちろん一朝一夕にいくものではなく、今も追求し続けているから
成し得ていることかと思いますが。

例えば同社の主力商品のひとつである「スイッチボックス」は、
同業他社が売れ筋の数種類しか出していないところで、
未来工業は85種類も出しています。

これは、徹底した差別化であると同時に、
商品の買い手である電設屋の「報恩性」を高める戦略でもあるのです。

主力商品以外の約80種類の製品は、それぞれ単体では赤字です。
しかし、その80種類の製品のおかげで、
電設屋は仕事の効率を著しく高めることができ、
こんなニッチな製品を作ってくれることに対して感動すら覚えるのです。

すると、一番数の出る主力商品についても、
「少々高くても未来工業さんで買わないと申しわけない」と考えます。

これが、「報恩性」です。
よほどの下衆でもなければ、そう考えることでしょう。
農耕民族で儒教精神のある日本人のメンタリティだと著者はいいます。

そしてこれは、従業員にとっても同じです。
「恩に報いる」という精神です。

「これだけの厚遇を受けているのだから会社のために頑張ろう」

と社員が思ってくれることを常に、考え続けるのが社長の役割だともいいます。

もちろん、これだけで会社が成長をするわけもなく、
山田社長は、社員自身が常に考え続ける仕組みづくりも怠りません。

例えば「改善提案制度」は、どんな些細な内容でも書いて提出すれば、
内容に関わらず500円が支給されます。
これは、500円のために考えるというより、考えるクセをつけさせる
仕組みづくりのひとつです。

他社が未来工業と同じような取り組みができるかといえば、
なかなか難しいと思うし、だからこそ未来工業がアドバンテージを
持ち続けることができるのかもしれません。

創業者である山田昭男氏は惜しまれつつ昨年永眠したそうですが、
カリスマがいなくなった未来工業にその精神は受け継がれているのか。

未来工業の未来について、ふと思い出した時にあらためて見てみたい、
と思います。

そういば9/8付の東洋経済ONLINEに、

『岐阜発「楽園企業」、毎日5時に帰る残業ゼロ術』

という記事が掲載されていました。

これに対しホリエモンこと堀江貴文氏が、

『やな仕事は短時間で終わらせるのが正しいけど、楽しい仕事はずっとしてたいんだよね。
この記事の仕事はやな仕事の方だね』

とつぶやいていたのですが、それもまたその通りだと。

昨今でいえばLINEのようなイノベーションが生まれた現場は、
それこそ寝食忘れてテンションマックス!のような勢いがあってこそ
その上昇気流にスパイラルが生まれブレイクしたことも事実。

そして個人的な感想としては、
寝食を忘れるほどの、楽しい仕事がしたいものです。