八ヶ岳南麓在住。里山好きのおじさんのブログでありんす。

【読書メモ】『お金の味』金森重樹

借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記
金森 重樹
大和書房
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ふるさと納税をしようかと思いたち、関連参考書籍の
「100%得をする ふるさと納税生活」を取り寄せました。

2015年改訂版 100%得をするふるさと納税生活完全ガイド

表紙の著者名の肩書きに「ふるさと納税の達人」とあります。
まぁ、この手の肩書きは言ったもん勝ちでしょうなぁ。

「◯◯アドバイザー」「◯◯エキスパート」「シニア◯◯」など、
枚挙していったら結構面白いかもと思い立ったが吉日、
でもたぶん誰かがやってくれているだろうと、思い直しました。

そしてノウハウ本のつもりで軽く読み始めたところ、
いきなり以下の記述があったのです。

「所得税、住民税あわせて年間2億円超の納税をしている僕は、」

ってアナタ! いや貴方!
ノウハウだけでなく納税額が完全に達人じゃないですか!
何者なんですか貴方は!

という興味から、他の著作を探ってみたところ出会ったのが
本書「お金の味」です。

著者が田舎から東京に出てきて背負った借金のどん底から生還し、
そして富裕層にまで登りつめる半生が綴られたノンフィクション。

副題としてある、
「25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記」
を見ると、フィクションかと思いきやノンフィクションです。

まさに、事実は小説よりも奇なり。

商品先物取引に手を出した著者は5400万円の借金を背負い、
その借金は利息と延滞損害金で5年間の間に、
実に1億2700万円まで膨れ上がります。

返すアテもない巨額の借金、
ヤクザによる取り立ては田舎の実家にまで及びます。

自己破産しちゃえばいいじゃん、と思うかもしれませんが、
「免責不許可事由」にあたる理由(投機など)での借金は
自己破産したところで借金棒引きにならないのです

つまり進むも地獄、退くも地獄。
ここまで追い詰められれば、
並みの神経であれば首をくくってもおかしくない状況でしょう。

しかし筆者は並みの人間ではなかったのです。

運命の糸は、
実業家K氏の元で翻訳のアルバイトを始めた時から
絡まり始めていました。

K氏は東証一部上場企業の創業者で、
いわゆる富裕層の資産家です。

ここに出入りをしていた先物取引の業者にのせられ、
禁断の先物取引に手を出してしまったことが、
この借金地獄の始まりでした。

この先物取引の証拠金を著者に貸し付けていたのが、
この資産家のK氏です。
つまり、著者の借金はK氏に対するものだったのです。

確かに、一介のフリーターであった若者に、
数千万円もの金を無担保で貸し付けるというのは、
常識的には考えられません。

しかし上場企業の創業者であるほどのK氏は、
著者に将来性を見出していたのだと思います。

つまり、将来たっぷりと太らせて回収できるだけの、
見込みと可能性を見抜いていたのではないかと。
そう考えてみると、K氏の人を見る目は確かなものだったと
いえるのかもしれません。

最終的には和解というかたちで、
元本と利息の5,400万円の返済で決着を見るのですが、
この時点で5,400万円を即金で返せるだけの資産を作っていたのが、
著者が非凡である証左でもあります。

莫大な、逃げることのできない借金を背負い、
ドン底に突き落とされて諦めの境地に達したことで、
著者は覚醒を果たすことになったのです。

これは「悟り」の一種といってもよいかもしれません。

求道者がある時突如、ことの全容を多次元的に理解する瞬間、
いわば「悟り」に達する瞬間が、この著者にもあったのです。

それは、「毒をもって毒を制す」ということです。

つまりこれだけ借金背負ってるんだから、
さらに借金してもどうせ返せないのは同じ。
だったら、借金をして事業を起こして借金で借金を返せばいい。

K氏の斡旋で就職した不動産デベロッパーで株式公開に携わり、
会計知識やマーケティングの研究を積み重ねていた日々が、
後の著者のビジネスに、余すところなくすべて活かされているのです。

そして気づけばいまや、

「所得税、住民税あわせて年間2億円超の納税をしている僕は、」

という超富裕層にまで登りつめました。

(経済的に)大きな成功を収めている人間は例外なく、
(経済的に)ドン底を経験しているといっても過言ではありません。

そして、私自身は(経済的に)ドン底を経験したことがありません。
すなわち逆説的にいえば、私自身が(経済的に)大きな成功を
収める可能性はないということです(笑

しかし、これほどのドン底に突き落とされた時に果たして、
再起を果たすことができる自信がない自分としては、
いままでどおり、細々と、でも日々楽しい人生を歩んでいこう。

そう思った、日曜日の昼下がりです。